2021年01月14日

天の梯

最近、楽しみに読んでいる小説『みをつくし料理帖』。
 第2巻 「花散らしの雨」
 第4巻 「今朝の春」
 第5巻 「小夜しぐれ」
 第6巻 「心星ひとつ」
 第7巻 「夏天の虹」
 第8巻 「残月」

いよいよ最終巻の第10巻は「天の梯」。
大阪から江戸に来て6年、幾多の苦難を乗り越えてきた澪ちゃん。
最終巻はそうしたことが思い出されて、涙をぬぐいながらの読書。

親のような芳さんは私とほぼ同年代で、
澪ちゃんが娘と同年代で、ちょうど同時の成長過程を眺めるようで、
共感が大きいのだと思う。

 この江戸で澪と生きた6年の歳月が、ふいに芳の胸に迫る。
 嘉兵衛(元旦那)の死、つる家との出会い、おりょう(近所の人)たちの情、柳吾(今旦那)との縁、そして佐兵衛(息子)のこと。
 ―澪、おおきに。そして堪忍。
  どうか、どうか、幸せになっておくれやす(305)

登場人物同士の、共依存の真反対の距離感が心地よくて、
心配しあうのだけれど必要以上に口や手を出さない。
だけど、何かあったら寄り添う。

大阪に帰ることを決めた澪に向かって種市が言う。

 「なあ、お澪坊、ご神仏ってなぁ、時にとんでもなく酷いことを、
  情け容赦なくなさるもんだ。
  慈悲も何もあったもんじゃねえっ、て仕打ちを。
  けれど、それに耐えて生きていれば、必ず何処かに救いを用意していてもくださる。
  俺ぁ、この齢になって、それが身に染みるのさ」(p.320)

あさひ大夫の見受けの仕方も、お見事!

作者の 高田郁さんは素晴らしい。
他の小説も読んでみることとします。

澪ちゃんの人生と共に、心は江戸時代の、楽しい数日でした。
posted by H.A at 19:00| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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