最近、楽しみに読んでいる小説『みをつくし料理帖』。
二巻 http://bouchukan.seesaa.net/article/479339063.html
第4巻のタイトルは「今朝の春」。
大きな料亭と料理競争をすることになった主人公澪に対し、
75歳のりうさんが言った言葉。
勝ちたい一心で精進を重ねるのと、
無心に精進を重ねた結果、勝ちを手に入れるのとでは、
「精進」の意味が大分と違うように思いますねえ(p.240)。
勝ちたいというのは即ち欲ですよ。
欲を持つのは決して悪いことではないけれど、
ひとを追い詰めて駄目にもします。
勝ち負けは時の運。
その運を決めるのは、多分、ひとではなく神仏でしょう。
神さま仏さまはよく見ておいでですよ。
見返りを求めず、弛まず、一心に精進を重ねることです(p.241)。
負けがわかった後、「小松原様」から言われた言葉。
勝つことのみに拘っていたものが敗れたなら、
それまでの精進は当人にとっての無駄。
ただ無心に精進を重ねて敗れたならば、その精進は己の糧となる。
本来、精進はひとの糧となるものだが、欲がその本質を狂わせてしまうのだろう(p.282)
以上、遠い昔は「欲」にまみれていたのに、
長く生きて「欲」も「精進」も遠いものになった自分に贈るメモ。
2021年01月06日
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