2018年09月12日

今更ながら『なんとなくクリスタル』

近所の図書館で借りたい書籍が貸し出し中で、
手ぶらで帰るのもしゃくなので、何か無いかなと検索していて、
見つけた『なんとなくクリスタル』。

IMG_7947.JPG

この書籍をご存知のあなたは、そこそこオトナ。
『なんとなくクリスタル』(1981)田中康夫 河出書房新社

まだバブル期前の、1981年発刊。
日本興業銀行に就職の決まってた田中氏は、
いろいろあって卒業間際に停学となり、1年留年。
内定もパー。

卒業単位はそろっているし、アルバイトもすべてやめていたしで、
時間つぶしに書いた小説が、同書であり、それが新人賞を受賞。
大学生が書いた、今どきの大学生の話で、当時一世を風靡した(らしい)。
いかんせん、当時の私は地方の幼子。
その後大学生になった私は、読んでみたが、よく理解できなかった。

というので、あらためましてこんにちは。
読んでみました。

神戸出身でモデルのアルバイトをしている大学生の主人公は、
彼氏と同棲し、野菜やお肉の買い物は青山の紀伊国屋、
魚は広尾の明治屋か築地、パンもケーキもいちいちこだわるという、
ほんまいかい!のような、とにかくお洒落でリッチな生活。

(私は昨夜、隣のスーパーに高いお米しかなかったから、
 もう少しリーズナブルなお米がほかのお店にあったら買ってきてねとオットに頼んだら、
 結局、私が買わなかった隣のスーパーのお米を買ってきたというので、
 喧嘩になったぞ)

その主人公を中心としたオシャレでリッチな大学生の様子が描かれているので、
いちいち鼻につくのだけれど、
そうはいえ将来への不安と、自分とは何かの模索といった大学生時代の
こもごもが伺える。

22歳だった田中氏の頭の良さと、洞察力の鋭さは、圧巻。
かっこいいアルバイトとして出てくるモデルも、
アイデンティティが無くてもできる、と一刀両断。

そして、
「あと10年わたしたったら、私はどうなっているんだろう」(p.147)


同書は、今の私の年齢で読むと、単なるチャラチャラ小説ではなく、
非常に骨太な印象を受けた。

また、大学生が書いただけあって、論文風に脚注が多い。
きっと当時の田中氏の卒業論文は、先行研究にのっとった
立派なものだったろう。


1981年から37年経って、当時の書籍はあめ色になっていた。
文庫本ではなくハードカバーのあめ色は、なんだかいい。

IMG_7951.JPG
posted by H.A at 19:00| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。