2018年02月05日

世界の中の日本を考える その2『ルポ不法移民 アメリカ国境を越えた男たち』

読書仲間の同僚が貸してくれた一冊
『ルポ不法移民 アメリカ国境を越えた男たち』(2017)
田中研之輔著 岩波新書
https://www.iwanami.co.jp/book/b325116.html

著者の社会学者の田中先生が、路上で仕事を探す不法移民と実際に接近し、
彼らの実態を学びつまびらかにされた一冊。
この体を張った研究手法には頭が下がる。

さて、移民と言っても、多様な人々が含まれる(らしい)。
正式な手続きを踏んで他国に移住した人も移民、
過去でも現在でも移民は移民。
アメリカなんて移民ばかりだ。

田中先生が接近されたのは、不法移民。
メキシコでは仕事が無い(らしい)ので、アメリカに不法に入国し、
働いて、お金を稼いで、母国にいる家族に送金したい、というのが目的。
ところが、不法なので、ちゃんとした仕事にはつけない。
病気になったらどうしようもないし、運転免許も当然取れない。
結局、皆でつるんで、助け合って、けんかしあって、飲んで、
住居費にお金がかかるし、そこまで稼げないしで、結局家族に送金できない。
家族に顔向けできなくて、帰れない。
何かで強制送還されても、結局また不法にアメリカに来る。

という堂々巡りの様子が描かれていた。
もちろん不法移民でも、将来に向けて頑張っている人もいるとのこと。

トランプさんがアメリカファーストを掲げて頑張っている。
同書を読んで、
ステークホルダーが多様な中で、アメリカの国民優先、というのは
その是非は置いておいて、国家君主として選択の一つであろうと納得もした。

それにしても疑問。
メキシコにそもそも仕事が無いのだろうか?
(メキシコには日本の自動車メーカーも工場を建設している。)
日本でも氷河期に仕事が無いと言いながら、
例えば美容院や福祉領域では人不足だった。
よって、数値には表れない実態がある。
仕事が無い、というのは、選んで仕事が無いのか、ほんとに仕事が無いのか、
働く気が無いのか?

そうはいえ、こうした疑問を持つことそのものが、
安心安全な日本に暮らす私の驕りかもしれない。

一度メキシコに行って、その様子を観てみたいと思うが、
国、というのは、
そこで生まれたことで、その人の運命を決めてしまう怖い存在である、と言えよう。

あ、ちなみに日本人も1960年代半ばまでは、
野蛮な民族として認識され、アメリカへの移民が許されていなかった。
日本人にとって、この移民問題は他人ごとではない。
posted by H.A at 05:00| Comment(0) | 研究:経営学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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