2021年01月12日

残月

最近、楽しみに読んでいる小説『みをつくし料理帖』。
 第2巻 「花散らしの雨」
 第4巻 「今朝の春」
 第5巻 「小夜しぐれ」
 第6巻 「心星ひとつ」
 第7巻 「夏天の虹」

第8巻は残月。
琴線に触れるセリフや文章は以下。

料亭の再建を背負う澪に、それは忘れていいという芳の言葉。
 「ひとの気持ちも物事も、全てのことは移ろうていく。
  仕方のないことだす」
 涙を堪え、諦念を語る芳の隣で、柳吾は深く頷いてみせた(p.151)。

長屋で仲良くしていた伊佐三家族の引っ越しを寂しく感じる芳と澪の姿。
 袷が恋しい風の中を、ふたりのおんなは無言のまま、つる家へと向かった(p.159)。

やっと見つかった息子のことを想う芳に対してのりうの言葉。
 「子の幸せと親自身の幸せを混同しないことです。
  いっぱしに成長したなら、子には幸せになってもらいましょうよ。
  そして、親自身も幸せになることです。
  ひとの幸せってのは、銭のあるなし、身分のあるなしは関係ないんです。
  生きていてよかった、と自分で思えることが、何より大事なんです。」(p.244)

亡くなったライバルを忍ぶ清右衛門の言葉。
 「芸時に長け、洒脱で粋、金遣いも美しく、
  馴染みの遊女を妻に迎える律義者で、ひとからの人望も厚い。
  その何れも、わしは憎くて仕方なかった。
  やつはもっと生きると思ったが、そうではなかった。」(p.268)

柳吾が澪に、麦の強さについて語る言葉。
 「秋に蒔かれて芽吹いた麦は、冬の間、
  こうして雪の下で春を待つのです。
  陽射しの恩恵をじかに受けるわけでもなく、
  誰に顧みられることもない。
  雪の重みに耐えて極寒を生き抜き、やがて必ず春を迎えるのです。」(p.290)

江戸時代は今のように空調設備があるわけではなく、
冬は寒そうで夏は暑そうで、だから春と秋が気持ちよさそうで。

そして空調に守られたひ弱な私は、ここ数日の散歩で風邪をひき・・・
ダサイ。
posted by H.A at 19:00| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夏天の虹

最近、楽しみに読んでいる小説『みをつくし料理帖』。
 第2巻 「花散らしの雨」
 第4巻 「今朝の春」
 第5巻 「小夜しぐれ」
 第6巻 「心星ひとつ」

江戸時代の食を中心としたほっこりとほのぼの読めるかと思えばそうではなく、
読み進めれば進めるほど、
人間の生きざまを赤裸々に描いている小説『みをつくし料理帖』。

第7巻は「夏天の虹」。

先日七草粥を食べたが、同小説にもその場面がある。
江戸っ子がお粥が嫌い、というのにまずは、びっくり。
粋で鯔背が身上な江戸っ子は、そもそもやわっとしたお粥よりはごはんが好きとのこと。
お粥を食べるならば、甘くして食べるらしい。
その中で、大阪から江戸に来た澪ちゃんが塩味を絶妙に効かせる七草粥を提供して、
お客に受けている。

といった食文化の違いに驚きつつ、澪ちゃんの恋が成就しそうででも別の道を選んでで、
悲涙にもくれる。
想い人は、思っているときが一番幸せなんだなと(´;ω;`)ウゥゥ。

 思えば昨年、競い合いに負けた翌朝、想い人が現れて、
 この橋を渡って帰っていった。
 ―よう、下がり眉
 そう呼ぶ声が聞こえた気がして、澪は視線を巡らせた。(p.78)

想い人と一緒になることよりも、料理の道を選んだことで、
周囲の人が傷つくさまを悲しむ澪に、75歳のりうさんが言う。

 「澪さんの料理には、祈りが籠っているんですよ。
  食べる人の幸せを心から祈る、せつない祈りがね。」
 己の狡さや情けなさばかりが心に突き刺さる拙い恋だった。
 それでも恋は無駄ではなかった(p.153)。

江戸時代は、立場によってできることが決まっており、
武家の嫁になったら料理人としての夢は諦めなければならない。

比較すると、現代のなんと自由なことよ。
あれもこれもと出来るが故に、皆悩む、不平不満が出る。
posted by H.A at 05:00| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする