2017年04月08日

『不平等社会日本―さよなら総中流』

『不平等社会日本―さよなら総中流』(2000) (中公新書) 新書
佐藤 俊樹先生著

以前買ってようやく手にした新書。
佐藤先生は広島出身ということで、一層親近感がわく。

そして、中流という言葉がまやかしで、自分ではどうしようもない親というか
それまでの系譜により、豊かさが決まってくることをデータで示している。

データで示す不平等の現実は、他にも多々書物はあるが、
佐藤先生のお考えが興味深い。
かつ文章がうまい!
(うまいなどと私が言わせていただくのも僭越ではありますが、
 うまい文章は、こういうことかとわかる、学びになるのですよ)

例えば、
−学歴社会や偏差値偏重教育を批判する大学教員や霞ヶ関のキャリア官僚は、
 「学歴社会はおかしい、だから私は大学教員(もしくは官僚)をやめます」とは言わないと(p.115)
 加えて、なぜ辞めないのかと聞く人もいないと(p.116)

そして
−自己の力の及ばない範囲まで「実績」にし、
 その「実績」を既得権するという日本の社会システム(p.121)
そうした日本社会を佐藤先生は、「母なるシステム」と表現されている(p.122)

こうした表現は、なかなか痛快だ。

また、佐藤先生は次のようにも述べている。
−階層社会や世代間移動や選抜システムは、
 努力すれば何とかなる、から、努力しても仕方ない、という空虚を生み出す。
 ならば、いっそ西ヨーロッパ型の階級社会を意識的に目指すということもありだと。
(佐藤先生は、これには反対だと明記されていますが)
−高度成長期以降の日本では、階級社会を反面教師としてきたが、
 あえて階級そのものの是非とは別に、その現実を踏まえたうえで、
 財や地位の公平な配分を考えたほうが、誰にとっても、良い状態になると(p.139)

そして、面白いのはブルーカラーのキャリア向上の新しいシステムとして、
同書発刊当時に流行った「カリスマ美容師」の存在を上げている(p.142−143)

なるほど!
カリスマ美容師は、ブルーカラーの熟練者だ。
となると、我々の社会も職業変革が起こっているわけで、捨てたものではない。
私が研究対象としている資源循環企業も、以前は「ゴミや」さんだった。
今では、立派な産業だ。

最後に佐藤先生は次のように書かれている。
−要するに、成功といえる成功をあげたすべての人が、
 胸を張って、「自分の実績だ」といえるしゃかいでありたいだけだ(p.175)

ということで、面白かったので、ついいろいろ引用してしまった。
他にも知見がいっぱい。
気になる方、お貸しします。
posted by H.A at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

パイナップルケーキ

諸般の事情で、台湾出張に行けなかったので、
仕事仲間がお土産としてくれました。
パイナップルケーキ。

IMG_3565.JPG

美味しゅうございました。
posted by H.A at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | お仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする