2007年06月06日

忘れていたのに、ふと思い出して悔しい

「財布」


母さん、ぼくのあの財布どうしたでせうね?
ええ、イギリスのノッティングヒルのTシャツ屋で、すられたあの財布ですよ。
母さん、あれは好きな財布でしたよ。
ぼくはあのときずいぶんくやしかった。
だけど、ふと見るとなかったもんだから。
母さん、あのときTシャツ屋にはたくさんの人がいましたね。
いつのまにかいなくなって。
そして周囲を見回したり、お店の人にカタコトの英語で相談したけどだめだった。
なにしろすごい人で、そんななかピンクのTシャツをぼーっと見てたから。
母さん、ほんとにあの財布どうなったでせう?
中身だけ抜かれたんでしょうね、
そして、日本円は換金されましたかね。
母さん、そしてきっといまごろは
今晩あたりは、あのストリートに、静かに霧が降りつもっているでせう。
昔、つやつや光ったあの黄色の帽財布と
その裏にぼくが書いたH・Aといふ頭文字を埋めるやうに、静かに寂しく。



【解説】
決して暇ではありませんが、ふと昨年の仏英旅行最終日の財布すられ事件を思い出しまして・・・。
映画「人間の証明」の「母さん、あの帽子どうしたでしょうね」のフレーズが浮かんできました・・・
調べると、西条八十の「麦藁帽子」という詩らしいですよ。    

イギリスにはお礼参りにいかねばなりません。





posted by H.A at 20:10| Comment(3) | TrackBack(0) | 追想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする