失った後に、お金で取り戻せないものがある。
誰もがそれなりに生活でき、
ヴィトンを持ち、海外旅行をし、飢えずに暮らせることを思えば、
お金で買えない価値に気づくか否かが、
人生の質を左右するのではないだろうか。
先日、以前より憧れていた山の上ホテルに泊まった。
古ぼけたタイルや、少し黒ずんだ窓のサッシは
最近のホテルにはないものだ。
しかし、ドアマンやフロント、また組織体としてのホスピタリティは
口うるさい私も、
まいった!
チェックインしてすぐの湯茶サービスは、
旅館を髣髴させる。
朝食をいただいたフレンチレストランの
総レースのランチョンマットに、
山の上ホテルの誇りを感じえた。
あの静けさと、空気の穏やかさと、歴史の崇高さは
日々時間に追われる私の心を洗ってくれるよう。
また、泊まりたい、と思わせる数少ないホテルです。